英国式ブラスバンド作品「Alone」の初演映像がYouTubeに公開されました!

英国式ブラスバンド団体、朱仄ブラスソサエティ(代表:松永 雄太さん)の委嘱作品として作曲した「Alone」(演奏時間21分)、初演の映像がYouTubeに公開されました!

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朱仄ブラスソサエティの皆さん、指揮の木村 文香さん、素敵な演奏をありがとうございました!

難易度の高い21分ほどの作品となっております。
是非ご覧いただければ幸いです!

下記、初演に際し書かせていただいたプログラムノートです。
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この作品は、英国式ブラスバンド「朱仄ブラスソサエティ」の委嘱作品として作曲されました。
第1楽章は2023年8月に、第2楽章は2024年2月に完成され、総演奏時間は20分を優に超える作品です。
 
私は2023年6月まで延べ3年弱ほど北海道利尻島に住んでいましたが、利尻島で出会った数々の情景は、どれも忘れることのできないほど非常に美しい情景でした。
 
幾度となく訪れた「夕日ケ丘展望台」という海に面した岬のスポットがあり、そこで見た景色や沸き起こる感情を今回の作品では表現しています。利尻島は観光の島で、普段はものすごい観光客で島が賑わうのですが、私が利尻にいたのは丁度コロナパンデミックと期間が重なるので、利尻島には観光客が少なく、いつ展望台に行っても僕1人の時が殆どでした。
 
「Alone」…「一人で・孤独で」と訳されます。人間の声や車の音は一切せず、聴こえるのは波のざわめきや鳥の鳴き声などの自然の音のみ…そして夕暮れ後の暗闇に沈んでいく目の前の光景や、明け方に太陽の光によって次第に明るくなっていく光景は言葉では言い表せないほど美しい光景だったと同時に、なんとも言えない複雑な感情が自分の中を駆け巡りました。そんな事を思い出しながら作曲させていただいたのがこの作品です。
その複雑な感情は…うまく文章で表現できる自信がないので、ここでは書きません。しかし、タイトルの「Alone」には密接に関わっている感情だということだけは言い切ることができます。
 
第1楽章「薄明に消える」では夕暮れ後の暗闇に沈んでいく光景を、第2楽章「あけぼのは次第に熱く」では明け方に太陽の光によって次第に明るくなっていく光景を表現しています。
いずれの楽章も自然の織り成す音や鳥の鳴き声を描写した音型、4年ほど前から自らの作品に取り入れた音楽語法によって、鳥たちの飛行やその飛跡(飛ぶ鳥の後ろに尾を引く残像、と表現したら良いでしょうか)が随所に現れます。
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